先日、10歳になる柴犬の女の子が来院しました。
以前から耳は悪かったそうですが、3日前から左耳が腫れているとのこと。
早速、診させてもらうと写真のようにパンパンに膨らんでいました。
これは耳血腫という病気で、耳介(耳たぶ)の軟骨内に血液を多量に含んだ液体が溜まってしまうことで起こります。
その原因はまだはっきりとはしていませんが、耳に炎症や腫瘍、耳ダニ、異物など刺激するものがあって、そのためにワンちゃん(ネコちゃんもなることはあります)が耳を振ったり掻いたりすることが引き金となることが多いようです(耳介に対する打撲や摩擦ということです)。他にも、免疫の異常が関与しているのではないかとも言われています。
実際、この子も耳の汚れがひどく、慢性の外耳炎を患っていました。
治療は外科的に行われることが多いのですが、今回は見た目や術後管理などの問題から内科的な治療を選択することになりました。
外耳炎の治療をしっかり行った後、写真のように、腫れている耳介の中にお薬を注入します。
治療はこれで終わりです!手術と比べるとシンプルな治療法です。
処置して8日目で腫れが半分程度になり、14日目には腫れはなくなって、痛がることもなくなりました。
ちょっとたれ耳になってしまったけど、今までのところ再発することなく過ごしています☆
耳血腫の治療のときは、耳血腫そのものの治療はもちろん大切なのですが、背景にある外耳炎やアレルギー性皮膚炎などの治療も欠かせません。
もし、普段から耳を気にしていてよく掻いたり、頭を振ったりしていたら、耳血腫になってしまう前に一度診察を受けられることをお勧めします!